「夕焼けは何故赤いのか?」を初心者にも分かりやすく解説

4. 科学・物理学(一般の人向け)

夕焼けが赤いのって当たり前のように見ていたけど
そもそもどうして赤いんだろう?

こういった疑問を持った読者さんを想定しています。

私は以前「なぜ空は青いのか?」という記事を書きました。
それの派生版として、今回は「なぜ夕焼けは赤いのか?」を解説したいと思います。
当たり前に見てきた自然現象も、その裏には奥深い原理が潜んでいるのです。

本記事では、東京大学で物理学者として勤務している私トーマが、夕焼けが赤い理由を分かりやすく解説したいと思います。

なお、私が書いた別の記事で「空が青い理由」というものもございます。
合わせてご覧いただけると幸いでございます。

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おさらい - レイリー散乱とは

以前の空が青い理由の記事でも解説しましたが、今一度ここでも、レイリー散乱についておさらいしたいと思います、

レイリー散乱とは
空気中の微粒子により、光が散乱される現象
です(下図参照)。

https://ochadoko-yamatoya.com/physics-wavemotion10 より引用

空気中の分子に光が当たると、その分子一つひとつがあらゆる方向に光を弾き返します。
その結果、光があらゆる方向に散らばっていきます(光の散乱)。
散乱された光は、空気中または空の中で広がっていきます。
そのため、もし青い光がたくさん散乱されれば、空が青い光で満たされるため、人の目には空が青く見えるのです。

これが空が青い理由でしたね。
では以下で、夕焼けが赤い理由について説明します。

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夕焼けが赤い理由 - 赤い光はレイリー散乱されにくいから

夕焼けが赤い理由を結論から言うと
赤色以外の太陽光は日中にレイリー散乱されて無くなり、赤い光だけが最後までレイリー散乱されずに残るから
です。

まぁ、これだけを言われても難しいかもしれないので、もう少し詳しく順を追って説明します。

これも、前回の記事のおさらいになりますが、太陽光には、波長が短い青い光や波長が長い赤い光などが含まれています。(下図参照)

「朝焼け、夕焼けの空はなぜ赤くなるのか? 空は「虹色」の順に変化する」より引用

波長が長い赤い光は間隔が広いため、もし光つまり波の進行方向に分子が一つあったとしても、その分子を避けることが容易です。
逆に、波長が短い青い光などはレイリー散乱されやすいですね。
(下図参照)

「青空と夕焼けと雲の色‥「レイリー散乱」と「ミー散乱」」より引用

つまり日中で青空が広がっているその裏では
青い光が強くレイリー散乱され、赤い光や黄色の光などは、まだレイリー散乱されずに残っている
のです

青い光が散乱されると言うことは、元の太陽光から、青い光が失われることを意味します。
日中では太陽が高く登っていますが、夕方の太陽は傾いていますね。
ということは、日が傾いている夕方の方が、太陽光が空気に触れる距離が長いということです。
(下図参照)

「空が青い理由・夕焼け空が赤い理由をわかりやすく解説!しくみがわかる光の散乱実験も」より引用

上の図に示す通り、空気に触れる距離が長いということはその分、光が空気中の分子と衝突する回数も増えます。 
その結果、レイリー散乱もたくさん起こるというわけです。
太陽光が地球の空気に触れると、まず青い光がレイリー散乱されて、太陽光中の青い光が少なくなります。
その太陽光がさらに空気中を進むと、青い光の次に波長が短い緑色の光(490-550nm)がレイリー散乱され、その次は黄色の光(波長550-590nm)、オレンジ色の光(波長590-640nm)という順でレイリー散乱されていきます。
そうなると、最終的に赤色の光しか残らないと言うわけです。 

そう、夕焼けの赤い光というのは、最後までレイリー散乱されずに残った光なのです。  

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まとめ

  • 空の青さと同様に、夕焼けの赤さも、光が空気中の分子に衝突することで生じる「レイリー散乱」が原因である
  • 波長が長い赤い光は、他の色の光よりも空気中の分子に衝突しにくい
  • 他の色の光がレイリー散乱されて消失する中、赤い光だけが残るため、夕焼けが赤く見える

参考書籍

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